2010年3月3日水曜日

口笛紳士再び、そして、、、

以前、口笛紳士なる人を紹介した。
すっかり忘れていたが、数日前電車に乗ったときに再開してしまった。

プラットフォームで電車を待つ間、なんだか挙動不審なおやじが目の前を通った。結構暑い日で、日向にはちょっと立っていられないような暑さだった。なのにそのおやじは黒いジャケットと帽子をかぶっていた。そして大きくはないが、はっきりと聞こえるその口笛、、、。

はっとして顔を見る。あんたはもしや、、、。
口笛紳士だった。

もちろん紳士は私の事を覚えていた訳ではない。
おそらく自分の口笛に呼応してくれる人を感知するのに長けているのだろう。ばっちり目が合って、移動を止めた。丁度来た電車の同じ車両に乗り込んだ。

あまり人のいない平日の昼間。
3人がけの対面シートに腰掛けて、あの美しい口笛を披露していた。車内のこと故、音量こそ押さえてあるがその通る音色は卓越していた。

が、紳士の様子が何やらおかしい。
口笛をやめたかと思うと、口を大きく開けて笑いながら、しきりと親指を立てている。
そうまさに、「ぐう〜」という感じで(古いですか?もう)。
紳士の口の中の歯は黒く小さく、何となく昔シンナー吸っていたのかしらと思わせる様相だった。でもあの高尚な音色を造り上げる紳士の事だ。きっとなにか深い理由があるのだろう。

その紳士の「ぐう〜」の意味を計りかねた私は、「?」という感じで微笑みながら首を傾げてみた。すると紳士のその小さい黒い歯を伴うポッカり開いた口から、「Cute. Very Cute.」が連発された。

そして突き出ていた親指は人差し指へと変わり、私の娘達を指差しだした。ちょっとひるんだ私は話題を変えようと口を開けた時、今度はその人差し指が私に向いた。
「Chinese?」
いえいえと答えると、紳士は顔をしかめて「あ〜中国人はだめだかんね」と言った。
「Vietnamese?」
いえいえ。
「あ〜、ベトナムの女はだめだね、こわいからよ。で、どこよ?」
日本です。

ばしっとまた親指が立った。
「Good! Very good! Japan! 」

、、、。おかしい。紳士がおかしい。これではそこらにいるただのおやじではないか。というかそれ以下だ。
あの高貴な口笛の音色はどこへ?
あのミステリアスな様子はどこへ?
紳士、私が紳士と名付けたかった彼はどこへ?

電車は目的の駅に着いた。
私たちが降りるのをじっと見ながら、紳士もふらりと降りて来た。

、、、着いてくるのか?

一瞬身構えたが、紳士は口を大きく開けてあはあはしながらまた電車に乗ってしまった。
もうあの口笛は聞こえて来なかった。

訂正が必要だ。
この私の動揺した心を落ち着かせるには、大幅な訂正が必要だ。

口笛紳士、改め口笛エロおやじ。