2008年4月26日土曜日

口笛紳士

私の住んでいる地域はメルボルンの中でも治安が悪いとされている。
昼の日中にお酒の瓶を片手になにやら叫んでいる人や、明らかにドラッグ中毒で焦点の合わない人がうようよしている。
2年住んでいるが、2回ほどドラッグの過剰摂取(?)で真っ青になって道ばたに倒れて解放されている人も見たし、
常に巡回している、アンダーカバーと呼ばれる私服警察に捕まっている人も見た。

というわけで、異様な人を目にする事はかなり多いのだけど、この前は本当にすごい人に会ってしまった。
口笛紳士。そう名付けよう。
ベトナム人(ちょっと話したので分かった)で年の頃40代前半の、色浅黒い紳士。
ぶかぶかのジャケットにラッパーみたいなだぶだぶのパンツ。目深に被ったキャップにサングラス。
彼はバス停でバスを待ちながら口笛を吹いていたのだが、この口笛がすごい。
半径50メートル以上に響き渡らんばかりの音量に、マライアキャリー(古いなあ)もびっくりする音域の広さ。
吹いている曲はなんだか分からなかったが、うっとり目を閉じれば、澄み切った春のスイスの野原が眼前に広がるようなメロディー。
このメロディーが紳士らしくない格好の彼を、紳士足らしめているのである(私の独断で)。
以前テレビで、口笛コンテストなるものを見て、人の口であれだけ芸術性の高い音が創れるものなのかと感心したのだが、
それを生で、ライブ演奏で聞いてしまったのだ。

怪しい人人は黙殺するのが常なのだが、口笛紳士には賞賛の声をかけずにはいられなかった。
ちょっとした会話のあと私が歩き去るのを、まるでミュージカル「雨に歌えば」のあの有名なシーンのようにバス停のポールに斜めに寄りかかりながら、手を振って見送ってくれた。もちろん、口笛の演奏つきで。

2008年4月20日日曜日

お別れ

明日、友人一家がメルボルンを発つ。
その友人とも気が合っていたし、1歳違いの彼女の子供とうちの子供とも仲良しだったので非常に残念だ。
日本を出るとき何人かの、本当に大事な友人たちに別れを言って出てきた時の寂しさと同じ種類の寂しさ。
なかなか気の合う友人を見つけるのは簡単ではなくて、たまに見つけてしまうと、こういう別れが本当にこたえる。
ブログには感情的な事、ネガティブな事はなるべく書かない事を自分のなかで決めているのだけれど、今回は彼女へのメッセージも込めて、あえて書いた。
交通機関や通信期間が発達して、世界が小さくなったとはいえ、やっぱり実際の距離は大事だ。