迷い犬を見つけた。
買い物の帰りに、風に舞う白いビニール袋を追って黒い小さな犬が、曲がり角からびよんと飛び出してきた。
首輪をしていたし、私の住んでいるあたりでは野良犬を日常的に見る事はないので、どこかから脱走してきたのだろう。あまり家から外に出た事がないのか、車に気をつけなくてはいけないという緊張感が低そうな犬だ。周りに犬を探している風な人もいないので捕まえて家に帰った。
夫は早速写真を撮って「犬見つけました」の」張り紙を作って、近所に5枚ほど貼った。娘は大喜びで一緒に転げ回っていた。犬と一緒に草むらに飛び込み、ボールを追い、しまいには水まで飲もうとしていた。チワワなので身長86センチの娘にはサイズがちょうどいいらしく、胸に抱えて歩き回っていた。
30度近くあった日で、日差しが強かった。飛び出したような大きな目の犬が私たちを見上げて目を細めた姿は、スターウオーズのキャラクターにそっくりだ。世話のめんどくささから動物はちょっとと考えていた私も、その面白い姿に「いてもいいかな」と思い直しそうだった。
が、幸か不幸か、後から思えばやっぱり幸なのだけど、その日の夕方には飼い主から連絡があり引き取られていった。
娘は犬がいなくなった事がよくわからないらしく、「いぬどこ?』を連発し、「あとで(帰ってくるね)」と一人納得していた。それを見た夫は、娘の不憫さと犬への想いで、目を潤ませていた。
暑い週末に起こった、小さな事件。