2007年11月2日金曜日

日本の年越し

11月になった。毎年毎年飽きもせずこの時期になると「早いなあ、一年って」とつぶやいている。
昔から年の変わる瞬間が好きだ。その年の恥や怠惰や傲慢や欲などが108以上の煩悩とともにすべて許される、あるいはなかった事にされるようで、清々しい。寒い家の外を思い浮かべながら暖かい部屋で、しみじみするのは何とも言えない味わいがある。

日本にいる時は、徐々にきつくなる寒さに促されて年を越すぞと気合いを入れていた。だけど、なにせオーストラリアではだんだん暖かくなってくるので気分が緩んでしまって、あれよあれよと流され気がつくと年が変わっているのだ。「あー夏本番だなあ」などといいながら海岸を歩いていると、2006年は2007年になっているのだ。
4年目のオーストラリア、季節が日本と同じではないのは分かっている。その原理も分かっているし、第一今更そんな事を話題にするのもなんだか恥ずかしい。と、いうよりオーストラリア初心者の様でちょっと悔しい気持ちもある。
クリスマスが暑いのにも慣れた、8月に暖房費が上がるのにも慣れた、自分の誕生日が真夏なのにも慣れた。
だけど、寒くない暮れと正月は、やっぱり寂しい。

池澤夏樹の短編で、日本人の男性とロシア人の女性のカップルが離婚するという話があった。彼らは日本に住んでいたが、彼女の「ロシアの空気がなければ生きていけないのよ」という理由で離婚する。
離婚してまで帰りたいというほど強く日本に惹かれないのだけれど、年末年始のあの荘厳な空気を思い出すとき、この彼女の言葉はひしひしと実感を持って心に迫ってくる。