2007年10月18日木曜日

食が与える影響

おいしいものは人を幸せにしてくれる。
例えばとても疲れている時に丁寧に入れたおいしいお茶が、心の底からくつろがせてくれる。
例えばおいしい料理が、パーティーや友達とのランチを盛り上げてくれる。

先日、異常に寒い日に、体を温めようと入ったカフェでの事。
店内にはやたらと愛想のいいアジア人のおやじと、おそらくその奥さんでおろうおばさん。それに、いかにも仕事のできなそうなアジア人の女の子がいた。外装はオーストラリアの何処にでもある軽食屋なのだが、この3人の醸し出す雰囲気がなんとなく異様だった。
移民の多いここでは、アジア人がやっているウエスタンなお店は当然珍しくないのだけど、この店は何とも言いがたいアンバランスな空気に包まれていた。中国の片田舎ではやらない飲食店をやっている家族が、そのままオーストラリアに来てしまったような、そんな感じ。

だけど、ショーケースに並ぶ食べ物は特に不審ではなく、店内も不衛生ではないのでカフェラテとチキンラップを注文した。

で、ややあって出されたもののまずさ。
コーヒーが、まずい。マシーンは何処にでもあるものなので豆が問題なのだろうか。
ミルクとコーヒーは混ざっているのに、口に入れるとそれぞれの味が分離してするの。コーヒーもおいしいところではなく、それ以外のところを抽出したような味だ。
気を取り直して、ラップを口にしたところなぜか酒の香りがした。まさかと思ってもう一口かじると今度は、ほのかにカビの香りがした。もしかしたらチーズの風味なのかもしれないと思い、注意深く咀嚼してみたが、かびであるという確信はひと噛みごとに深まっていく。
食べ物を粗末にするのは大嫌いだし、多少まずくてもたいてい食べ終えるのだが、これはだめだった。
コーヒー2口。ラップ1口。これが限界。
寒さも癒えないまま、そそくさと出口に向かった。店を出る直前に例のおばさんと目が合った。なにを語らんやの目つきだったが、何かは分からなかった。ただの一瞥だったのかもしれない。

その日はなぜか一日気分が暗かった。なにかにつけ、あのまずいコーヒーとラップが思い出されて、憂鬱になった。
おいしい食べ物が人を幸せにするように、まずい食べ物が人の気持ちをこんなにも打ちのめすなんて、知らなかった。
あらためて、食と感情の関係の深さを思い知った日だった。